笑顔をキャッチフレーズにウェルビーイングの実現に向けてはじめに下田消防本部(静岡)部に位置し、下田市、河津町、南伊豆町、西伊豆町および松崎町の1市4町の消防下田消防本部は、静岡県伊豆半島の南業務を受け持つ一部事務組合です。管内は、半島を北から縦断する天城山系を背に、東は相模湾、西は駿河湾に面し、その全域が「富士箱根伊豆国立公園」に属しています。「伊豆の踊子」の舞台となった天城の山並みや変化に富んだ海岸線、良質な温泉に恵まれ、黒船来航による開国の歴史を刻む下田市、ひと足早く春を告げる河津桜で知られる河津町など、四季を通じて多くの観光客が訪れる国内有数の観光地です。太古の海底火山が生んだ大地は、ユネスコ世界ジオパーク「伊豆半島ジオパーク」にも認定されています。当消防本部は、昭和42年(1967年)に下田町消防本部として創設され、昭和南伊豆町による下田地区消防組合へ移行しました。平成25年(2013年)には消防の広域化に伴い西伊豆町・松崎町が加入し、現在の1市4町体制となりました。現在は、1本部・2消防署(下田・西伊豆)・2分署(河津・南伊豆)、職員定数124人の3交替勤務体制で運用し、管轄人口約4万4000人、管轄面積約505㎢の安全・安心を24時間支えるとともに、「笑顔」をキャッチフレーズに掲げ、職員一人一人が地域への誇りを持って職務に当たっています。消防を取り巻く環境は、日々大きく変化しています。人口減少や少子化の進行により、多くの消防本部で職員の確保が難しくなる一方、高齢化に伴う救急需要の増加や、災害の激甚化・頻発化への対応も求められるようになっています。伊豆半島南部を管轄する当消防本部も例外ではありません。海や山、河川、そして観光地を抱える地域特性から、火災や救急だけではなく、多種多様な災害への備えが欠かせません。夏の海水浴シーズンには水難救助、登山シーズンには山岳救助、台風接近時やゲリラ豪雨発生時には河川の増水や土砂災害への警戒など、季節によって求められる活動が大きく変化することに加えて、住民だけではなく年間を通じて訪れる多くの観光客の安全を守る役割も担っています。こうした多様な災害に対応する消防力を支えるのは、車両や資機材だけではありません。最も重要なのは、それらを使いこなし、状況を的確に判断し、仲間と連携して活動する「人」です。だからこそ、「人材確保・育成・定着」を一体で考えることが、これからの消防にとって欠かせない課題となっています。当消防本部の現状として、人材確保の面では、人口減少が進む中、採用試験の受験者数こそ増加傾向にあるものの、採用に至らないケースや併願受験による内定辞退も多く、繰り上げ採用が増えているのが実情です。また、育成の面では、消防職員は現場で育つ職業であり、教科書や訓練だけでは身に付かない判断力や対応力は、一つ一つの現場経験の積み重ねによって養われます。そのため、当消防本部においても、職員育成のほとんどを日々の訓練や現場活動を通じて判断力や対応力を高め1 消防を取り巻く現状と課題18—消防の未来をひらく人材戦略—57年(1982年)に下田市・河津町・2026 9号ほのお 管内図人材確保と育成
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