機関誌「ほのお」4月号
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ほのお (谷山 優一)までの打ち合わせ回数は、延べ100回を超えることも珍しくありませんでした。この膨大な業務を処理するため、限られた人員の中で事務の再分配を行い、作業の効率化を徹底することで、なんとかこの難局を乗り越えることができました。また、こうした大規模な開発への対応を通じて得られた経験や知見は、大きな財産となり、現在では同様の課題に直面している他県の消防本部からの視察や研修を受け入れ、当消防本部の取り組みを広く共有することを目指しております。査察体制の構築2 当消防本部が管轄する防火対象物数は全体で9033件(特定防火対象物2073件、非特定防火対象物6960件)にのぼります。また、危険物施設数は637件となっており、産業の発展とともにその重要性が増しています。これらの施設に対する査察体制は、地域に密着した「消防署による査察」と、より専門的な知識を必要とする「予防課による査察」の2本立てで実施しており、年度末が近づく時期に「査察執行管理会議」を開催し、次年度の重点目標や具体的な実施方針を決定しています。令和6年度における査察実施件数は、全体で1047件となりました。予防課が主体となり実施する査察においては、次の対象物に重点を置き実施しています。・大規模な工場施設:火災が発生した場合の影響が大きく、高度な消防設備が必要な施設・防火対象物定期点検報告の対象施設:適正な維持管理が法令で義務付けられている施設・危険物施設:引火性や爆発性の高い物品を大量に扱う施設これらの重要施設については、少なくとも3年に一度は必ず立ち入り査察を実施することを目標に掲げ、計画的な指導を行っています。3 大規模工場施設に対する多角的な査察指導半導体産業の集積が進む中、新しく設置される危険物施設が増える一方で、既存の施設をいかに安全に維持管理していくかが大きな課題となっています。当消防本部の査察において特に配慮している点は、消防法という一つの法律の枠内だけで判断するのではなく、関連する他の法律も含めた全体像を把握することです。半導体工場等の現場では、消防法、建築基準法の他にも、次の法律等が密接に関わっています。・毒物及び劇物取締法(毒劇物の適切な管理)・高圧ガス保安法(高圧ガスの爆発防止)・労働安全衛生法(作業者の安全確保)これら個別の法律による規制をバラバラに捉えるのではなく、それぞれの安全基準が「どの設備に対して」「どのような事故を防ぐ目的で」設けられているのかを正しく理解することが、適切な指導への近道となります。消防法の基準をただ押し付けるのではなく、他法令との整合性を踏まえて説明することで、事業者側も安全対策の必要性をより深く理解し、実効性の高い取り組みにつながると考えています。さらに、査察は火災を未然に防ぐためだけのものではありません。万が一、火災や危険物の漏えい事故が発生した際に、現場に駆けつける活動隊が、いかに円滑に活動できるかが重要です。そのため、予防課員による査察時には、各署の活動隊員も同行する「合同査察」を実施しています。実際の現場で建物の構造や危険物の配置を確認し、その情報を「警防計画」に直接反映させることで、予防と消火活動の連携を強化しています。おわりに産業が高度化し、複雑化する現代において、査察の役割は単に「消防法令違反を見つけること」に留まりません。これからの消防行政には、地域が抱える事故のリスクを総合的に分析し、事業者の相談に乗りながら安全な環境を整えていく「安全の調整役」としての役割が期待されています。各消防本部におかれましても、それぞれの地域特性に応じた創意工夫を凝らされていることと存じますが、当消防本部における大規模工場に対する査察の取り組みが、皆さまの消防行政のさらなる発展の一助となれば幸いです。254号 2026

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